恋人の中にいつまでも昔の男の影が見えて、苦しい。いつまでもいつまでも付き纏う。あの男と離れるために、おれと一緒にいるんだろう。たぶん。それが全てではなくても、そうなのだろう。 いつまで、孤独なのだろう、僕ら。

12月

iPhoneを同期させたくて、pcにつないでみるのだが、pcが悪いのかケーブルが悪いのか、読み込んでくれない。 何度か電源を落としてみたり、ケーブルを変えてみたりするのだけれど、一向に読み込んでくれるような気配はない。 つい先日まで、ちゃんと使えてい…

冬が近づいてきたような

ここ数日で一気に空気が冷えた。一昨日、冬の空気になった気がして「今日は霰が降りそうだなぁ」と思っていたら、案の定、バイトが終わって帰ろうとしている頃、1日中降り続けていた雨の中に小さな氷が混じり始めた。 冬の匂い、という表現があるが、なるほ…

雑記

特に理由なんてなくても、なんだか気持ちが落ち込む日っていうのがあって、今日はそれ。本当は理由があるのかもしれないし、ある気がするけれど、それは理由と呼ぶには少し曖昧過ぎるから無いのと同じ。と自分に言い聞かせてみる。 昨日、注文したCDと詩集の…

祖母との電話から

祖母と電話をした。祖母はよく電話をかけてくる。最近は夜中の23時頃にかけてくることが多い。寝た方が良いよ、と言うと、あんたは忙しくて夜中しかまともに電話に出れんから、と言っていた。昔から両親は共働きで、家に帰ってくるのは早くても19時や20時だ…

憂き世話

「怖いから見たくない!」 そう言って絢子はトイレから走って出ていく。 検査窓に赤紫色の線がうっすらと浮かんでくる。段々と色が濃くなっていく線の左側には真っ白な空白。線は一分ほどではっきりと現れた。まだなんとなく安心できず、そのまま数分、小さ…

長袖

高校へ続く道は桜並木になっていて、春になると花は鮮やかに咲き乱れ、そして一週間ほどで散っていく。落ちた花弁が道路の端の方へと追いやられて茶色く腐っていく間に、木々は生命力が透けて見えるほどに濃い緑色をした葉を育て、自らが落とした花弁のこと…

憂き世話

あんたの、ふとした一言にどうしようもなく悲しくなってしまうことがある。でも、おれは、あんたの抱える過去を忘れろとか忘れるなとかそんなことを言いたいとは全くと言っていいほど思ってない。 だって、過去って一人ひとり違っていて、その過去があっての…

憂き世話

夕方くらいから、日が暮れて数時間経った今まで、ずっとずっと同じ問題を考え続けている。 自分の頭が相当に悪いと気づいたのは最近のことで、「宿題面倒臭いよ〜」なんて台詞が、教室のあちこちから毎日聞こえてくるものだから、私は勝手に勘違いをしていた…

湿気

ジメジメとしたこの土地の性質が、土地に生きる人々の性質を侵し、人々の心象も土地と同じく湿り気の強い腐葉土のような不快な柔らかさを携え始めたのはいつのことなのだろうか。 彼が生まれた土地は、山と山に挟まれた谷であった。集落の中心を流れる川の水…

吸水性

終わりがくる度に、自分の中に空洞がぽこりと生まれる様な心持ちになる。必死に立ち向かっていた対象がある日急に無くなってしまうことなんて、生きていく中では珍しいことではないのだけれど。 自分の中に生まれた空洞は、徐々に広がっていって、今まで生ま…

憂き世話

たまたま街中であなたを見つけると、それだけで嬉しいような悲しいような変な気持ちになって、思考が停滞してしまいました。 あなたがここを去ってから、もう何度夜が来て、その度、私は何度暗闇へ浸されたのか、もう分かりません。身体を濡らす暗闇が乾く前…

2016年10月21日のこと

僕の住む街で大きな地震が起きた。 揺れ始めた時に何をしていたのか、もうあまりよく覚えていない。ベッドに座って、振動する部屋の中で、棚から空き瓶や小銭をためていた小箱や木で出来た蛙の置物や、いろいろなものがポロポロと落下していくのを見ていた。…

ピアスを開けるのは完全に自己満足です。べつに誰かに見られたいとか、お洒落したいとかそんなんじゃなくて、自分の身体を自分のものだって確認するための行為。自傷行為。腕を切ることにはまだ抵抗があって、というか腕を切るのはあらかさま過ぎる気がする…

憂き世話

美咲先生は大学生で、毎週火曜と木曜に僕の家へやって来て国語を教えてくれる。僕は文章を読むのが嫌いで、小説ならまだ少しは楽しいと思えるのだけれど、評論なんて何が楽しいのか分からないし、細かな字が整然と並んでいる様を眺めているとなんだか頭の中…

演者

人間は地域の中で無意識的に与えられた役を演じている。大学のある講義でそういう話があった。文学的な視点から地域を見るというテーマで行われた講義で、ある小説について教授が解釈し、そこから導き出される論を説明するというもの。学部全体の必修科目だ…

憂き世話

お前が死んだって世界は変わらねえよ。ただ少しの数の人間が悲しんで、そしてお前のことを忘れていくだけで、そんなことでは世界は変わらない。だから生きるってのも虚しいだけなら、もう好きにしてしまえばよいさ。お前が死んだって世界は変わらない。いや…

憂き世話

誰かが自分の名前を呼んだような気がして振り返ると、クラスで一番可愛いと言われている女子と目が合った。僕は2秒ほど彼女を見つめていたが、目が合った途端に彼女の眉間にはその端正な顔に似合わぬ、深々とした皺が生み出された。自分のことを不審に思っ…

汚い部屋

メンヘラ気質に拍車がかかってきている自覚がある。隠していたけれど、隠し通すのもそろそろ限界なのかもしれない。 正直、今までの人生病んでいた記憶しかない。別に鬱病とかそういう病気ではなかったと思う。ただ精神的に弱いだけで、そんなのは甘えだろう…

田舎のこと

実家のある辺りは山に囲まれていて、川が流れ、民家よりも田圃の数の方が多いような場所である。 幼い頃から生き物が好きだった。好き、というよりは生活の中に生き物がいることが当たり前のこと過ぎて、生き物と関わらざるを得なかったと言った方が良いのか…

海辺を想う

あの日の海を思い出してみる。 死んでも構わないと思いながら歩いていると、海に来ていたのだった。砂が足に纏わりつく鬱陶しさすらどうでも良く、ただ生きる事の不遇さや理不尽さをアルコールで溶かしながら歩いていた。波の音が思っていたよりも優しかった…

花火

納涼祭の終わりには花火をするのが恒例だった。納涼祭と言っても、小さな村の小さな公園で行われる小さな祭りで、公園の真ん中に建てられた櫓の周りで盆踊りをしたり、ちょっとしたグラウンドゴルフ大会が行われたりする程度のものだった。週に何度か公民館…

憂き世話

薄っぺらいビーチサンダルが小石を踏みつけた。小石はビーチサンダルの底に食い込んで、ビーチサンダルの底に小さな窪みが出来た。鋭利な小石に刺されたそこからは一滴の血も流れない。夏の夜の国道沿い、歩道を歩いている。通り過ぎていくのは大型のトラッ…

憂き世話

隣室から喘ぎ声が聞こえるこの深夜三時半の部屋で僕は物語を終えるのだ。隣で行われているのは生殖活動なんかではない。学生のくせに子供を作ろうとするはずはない。じゃあ、何のための行為なのか? 薄い膜の中は牢獄以上に残酷な場所なのだとお前は分かって…

半袖

気温が上がってきて、半袖姿の人々が目立つようになってきた今日この頃。まだ、半袖は早いだろう、いや、いけるかも、いや、やっぱまだ早いかな、といった具合に毎日着る服について思案する。特にこだわりはなく、よく「寝巻き?」と言われるので「正装です…

青年

小説をいつか書いてみたいと思っていた。本を読む習慣はなく、今でも大した数の本を読んではいないが、本を読む度に感動したり、しなかったりしていた。本を読むことが嫌い、と思ったことはない。勉強は現代文だけ大好きだった。英語も現代社会も世界史も数…

憂き世話

眼を開くと、真黒な、どろどろとした液体が身体を包んでいた。呼吸ができないが、不思議なことに苦しくはなかった。身体の中が火照って、血が巡っている感覚が脳味噌を揺らす。自分の血液ではない、何か別の生き物の群れが身体の中を駆け巡っている。自分自…

高校時代のある日

この辺りにしては大型の書店の駐車場の端の段々になったところに腰掛け、友人と2人何をするでもなく、自分たちの退屈な日常について話している。アスファルトの割れ目や継ぎ目から雑草が生えていて、風にゆらゆらと揺らされている。学校帰りに、中学の頃から…

憂き世話

ぴいぴいと鳴く小さな生き物が、うちへやって来た。やって来たというか、風呂から上がって、火照った身体を冷やそうとミネラルウォーターを飲むために冷蔵庫の扉を開くとちょこんと座っていた。私が「うわっ」と叫ぶと、ぴい、と鳴いた。そっと手を伸ばして…

日常

講義が終わって近所の書店に行った。岩波新書蔵出し祭というキャンペーンをしていて、キャンペーン中は岩波新書1冊購入につき1回福引きに挑戦できる。福引きの商品は岩波の限定グッズ(非売品)らしい。twitterでそのキャンペーンを知ったので、講義が終わっ…