隣人

隣人は僕と同じ大学生である。茶髪で身長も高い方で、THE大学生な見た目をしている。たまに廊下ですれ違うが挨拶はしない。僕は彼が苦手である。というのも、五月蝿いからだ。関わりなんてないし、ただ部屋が隣というだけの関係だが、苦手である。彼は昼間も夜中も、たとえ深夜であっても家にいる間は常に大声で歌っている。彼が帰ってくるとすぐにわかる。歌い出すので。しかも歌が上手くない。隣の部屋から常に下手な歌が聞こえてくる生活は良いものではない。入学したての頃から地声で大声で「愛してる〜」みたいな歌詞の曲を歌っていたので不快だった。約一年半経った今、彼は裏声を覚えた。「ハァーーッ」とか「アァーーッ」とか裏声で大声で、歌い出した。裏声に味を占めたのか、その頻度はどんどん上がっている。五月蝿い。EXILE系の曲をよく歌っている。そして、彼はめちゃくちゃ洗濯する。昼間も夜中も、たとえ深夜であっても家にいる間は常に洗濯機を回している。彼が帰ってくるとすぐにわかる。洗濯機を回し出すので。五月蝿い。
たまにベランダで洗濯機を操作しながら歌っていることもある。コンボ。五月蝿い。
僕の住むアパートは風呂場に窓があり、窓は廊下へ繋がっているのだが、隣人は風呂でも歌っている。廊下に響き渡る歌声は五月蝿い。しかも、音源を流しながら歌っている。風呂場で。携帯かパソコンか何を使って音楽を流してるのか知らないけれど、大丈夫だろうか、濡れて壊れたりしないのだろうか。心配である。