日常

講義が終わって近所の書店に行った。岩波新書蔵出し祭というキャンペーンをしていて、キャンペーン中は岩波新書1冊購入につき1回福引きに挑戦できる。福引きの商品は岩波の限定グッズ(非売品)らしい。twitterでそのキャンペーンを知ったので、講義が終わってからすぐに書店に向かったのである。新書を普段は読まないくせにグッズが欲しいばかりに書店に来たので、何を買おうか考えながらしばらく本棚の前でじっと背表紙を眺めた。眺めたというより睨みつけた。やっと1冊選んで、ついでにうろうろして、他に3冊の本を手に取り、レジへ。
レジには書店がよく似合う40代くらいの女の人がいて、ワクワクしながらその人に本を手渡した。

カードはお持ちですか?
はい、持ってます
ありがとうございます
…文庫にカバーはご利用になりますか?
いえ、いらないです
わかりました
ピッ…ピッ…ピッ…ピッ…
4冊で3,262円です…10062円お預かりします
ピッピッ ガチャン
それでは、お先に6000円と…800円のお釣りです
ありがとうございました、またお越しくださいませ…

あれ、福引きは???
心の中で、今か今か、どのタイミングで来るのか、まだか、あれ、まだなのか、という感じで福引きを待ちわびながら精算をしていたが、「福引き」の「ふ」の字すら店員さんの口が発することはなかった。こういう時に、あの、福引きを…という図々しさを僕は持ち合わせていない。あ、ありがとうございますぅ…と言ってレジを立ち去り、少し切ない気分になった。
店員さん、忘れてたのかな。それとも、もう景品無くなっちゃってたのかもな、なんて考えながら、弁当を買いにスーパーへ行った。弁当しか買うつもりがなかったので、買い物カゴは持って入らなかったけれど、見て回っている内になんだか久々に自炊をしてみたいような気になって、入り口へ買い物カゴを取りに戻る。入り口に戻ると、まるでカゴの番人のように両サイドに男性店員が立っていて、客が来ると「いらっしゃいませぇ〜」と野太い声で言い、客にカゴをサッ!と手渡していた。なんだかカゴを取りに行きづらい。なんのサービスだよ、と思いながら見つからないようにそっと忍び寄り、カゴを取ろうとすると、「いらっしゃいませぇ〜」という声と共にサッ!とカゴが差し出された。目ざとかった。

今日はそんなことがあった。