吸水性

終わりがくる度に、自分の中に空洞がぽこりと生まれる様な心持ちになる。必死に立ち向かっていた対象がある日急に無くなってしまうことなんて、生きていく中では珍しいことではないのだけれど。


自分の中に生まれた空洞は、徐々に広がっていって、今まで生まれてきた空洞とひとつになったり、交わらないままに広がり続けたりする。
普段は気にしないのだけれど、新しく終わりが訪れた次の日には、僕の意識はそれらに集中される。そんな時、僕は自分はスポンジの様だと思う。スカスカの中身。外から見る形だけは変わらないままなのが虚しい。


スポンジは色々なものを吸い取る。洗剤とか水とか、大抵の液体ならば否応なしに吸収してしまう。僕が吸い取っているのは、寂しさや虚しさで、空洞の中を満たすそれらを搾り出す術を僕は知らない。誰かが僕を抱きしめる様にして力を加えてくれれば、搾り出せるのだろうか。
吸い取ったものを溜め込んで腐らせて、そんな身体で明日について考える。そんな日々を繰り返しては、また空洞が生まれ、僕はそこに新たな寂しさと虚しさを溜め込んでいく。


空洞を何か別のもので満たしたいだけなのだ。


抱きしめられて、ぎゅっと小さくなった身体を元の大きさに戻す時、寂しさでも虚しさでもない何かを吸い取って、そうやって、満たされたいだけなのだ。