ひとり、美しさに打ちひしがれる夜。酒を飲んで、ふわりとした頭で、考えているふりをして何も考えずにいる。

 

自分に無いものを持っている人がどうしようもなく羨ましくて妬ましい。美しいと思うものはいつも、自分の中にはなくて、美しいのはいつも他人だ。

 

全てにおいて、他人より劣っている気がして怖い。僕は何も持っていない。ただ身体があって、陳腐な脳味噌があって、それで何だって言うのだろう。

 

劣等感で生かされている。何か、何か、何でも良い、何かひとつだけでも、何かがあれば良いのにな。満たされることのない人生を、満たされるために生きる。

 

アルコールに溶けた脳で、美しさに殺されるだけの人生。それはとても苦しくて、でも、とても幸せだ。