人は死ぬ。
あいつが死んだらしい。らしいってのは風の噂で聞いたから本当に死んだのかは分からないって恋人が言ってたから。
死んで欲しいと思ってたけど、正直、どーでもいい。死んだんだ、へえー、って感じ。
問題は、その事実を恋人の口から聞いたことで、まぁ恋人以外にあいつの話をする人間はおれの周りにいないのだけれど、恋人はあいつのことをたぶん今でもどっかで抱え込んで大切にしてんだろうな、ってのが改めて感じられて、うざったい。
ショック受けたんだってさ。まぁ、そりゃそうだよな。あんなに好きだったんだもんな。あんなに好きだった人間のことを、どーでもよくなるなんてことはないよな。
でも、そんなこと、おれには関係ない。黙っていてくれ。
おれは未だにあの頃のことをふとした瞬間に思い出して、死にたくなってんの分かってんのかな。お前らのせいでおれは少しおかしくなってるってこと気付いてんのかな。お前ら、って括ってしまうしかないこの虚しさとか理解できるのかな。
できないんだろうな。
してもらおうとも思ってない。
いつまで付き纏ってくるんだろう。
うざったい。