花の寄せ植えを母にプレゼントした。花の寄せ植えを買いに行ったのにウツボカズラに一目惚れして買ってしまった。格好良い。
寄せ植え、母が喜んでくれて良かった。
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夜ご飯を食べ終わった頃から、身体に電気が走るようなんとも言えない目眩のようなよく分からない感覚に襲われる。このビリっとくる感覚は2ヶ月前くらいから出てきた症状なのだけれど、歩いている時とか立ち上がった時とかに、うっ、となる程度でそこまで困ったことはなかった。が、今回はなんだか様子がいつもと違う。身体を少しでも(指先をほんの僅かにでも)動かすだけで、電撃。歩こうものなら100万ボルト。廊下の途中で崩れ落ちる僕。引き戸すら開けられない。引き戸を開けようとするだけで意識がぶっ飛びそうになる。今の僕は赤ちゃんより弱い。これは入院かもしれないぞ、と100万ボルトをくらいながら、なんとかカバンに本と充電器と財布とその他必要なものを詰め込んで、ヒョウモントカゲモドキのかめちゃんにご飯をあげておく。この間に10回ほど崩れ落ちた僕。さて、救急車タイム突入です。助けて119。
ピーポー🚑(搬送中)
病院に到着。運ばれながら、振動にすら電撃を感じてうめく僕。症状の説明を必死にするも「何言ってんだろこいつ」みたいな感じであしらわれる。いや、だって、この感覚を説明するのは、むずいぞ?
「痛みですかね?」と聞かれたので「いや、痛いって感じでもないです」と答える。でも、医者が「今は痛みはありますか?」「動くと痛いですか?」と尋ねてくるので自信が無くなってきて「これ、痛みなんですかね?」と尋ね返す。なんとなく濁される。
「痛み止め飲んで様子を見ましょうか」
分かった。そこまで言うならこれは痛みです。おれの負けだぜ…。
ベッドに移されて3日ぶりの採血。点滴を打たれ、別室で待機することに。移動式ベッドでコロコロ運ばれながら振動にうめく僕。
移動式ベッドから備付ベッドへ移動する際に、座れる? 動ける? と、看護士さんたちに聞かれるので、おれに任せとけよ、という気持ちで「いけます」と言い切り、うっうっ、とうめきながらなんとか移動完了。採血の結果が出るまでここで休んでいてください〜、と言って看護士さんたちは処置室へ戻って行った。
さて、結果は。
「ちょっと肝臓が悪いですね」
それは先日主治医から聞いております。
あとはやはり異常なしとのこと。ちょうど次の日にCTを撮る予定の病院にえんやこらと担ぎ込まれたので、明日の結果でなんやかんやしましょう! という感じで処置終了。試しに(試しに)痛み止めを飲み、点滴が終わるのを待って帰宅することに。
ベッドの上で、ぽけーっとビリビリしていると、ひとりの看護士さんが「痛みはどう?」と訪れてくれた。看護士さんがベッド脇にしゃがみ込んで、寝転がっている僕の目線と同じ高さになって、
「わたしもうつ病なんだ」
先程、処置室で採血と点滴を僕の腕に施そうとした看護士さんだった。僕の腕には、恥ずかしながら傷痕が数本ある。それを目にしたから、こうして話し掛けに来てくれたのだと思う。
「今の〇〇クリニックの先生はどう?」
と聞かれる。通っている病院についても、症状の聞き取りの最中に抗うつ剤の話になった際に話していた。僕は正直に、
「あまり会話できる感じじゃないです。薬をもらいに行ってるような感じですね」
と答える。
「やっぱり。正直、あそこはあまり評判良くないよ、薬も多いし。〇〇っていうところの先生は話を沢山聞いてくれるし、病院を変えることも考えてみたらいいかも。肝臓の数値が高いのも薬が関係しているかもしれないし、できるだけ薬の少ない病院に変わるのも良いかもしれない。話を聞いてもらうってだけでも気持ちが楽になること、私はけっこうあったよ。大変な時だけど考えてみてね」
自分の通っている病院の評判が悪いことは知っている。ただ、自立支援医療の申請も今の病院で行っており、転院は手続き的にも煩雑になってしまう。それに転院したとして、転院した先が良い病院だとも限らない。リセマラガチャみたいなものだ。だから、転院する労力もなくズルズルと今の病院に通っている。良い病院情報を教えてもらえたことは、今後のためにかなり助かる。
「ありがとうございます」
心からお礼を言う。看護士さんは、微笑みながら、
「たぶん、今、すごくしんどいと思うけどね、大丈夫だよ。…私も何回も死のうと思った。うつ病になった時、子どももいたから家事もしないといけなかったけどできなくて、旦那との関係も悪くなって離婚して、とか、辛いことも沢山あった。本当に何もできなくて、何もできないことが辛くて、とか考えながらスーパーで何も買えずにずっとグルグルしていたこともある。なった人にしか分からない辛さってあるよね。」
「ありますよね。僕は、例えば本当に人と会いたくない日、会いたくないと言うか、会えない日っていうのがあって、そういう時は休むようにしてるんですけど、休むことに罪悪感を感じてしまって、それも辛くて。周りに迷惑ばかりかけて、自分何してるんだろう、って。それを説明しても、分かってもらえているのか不安で怖くて、どうしたら良いのか分からないです。」
「他人のことなんて考えなくていいんだよ。自分のことを考えたら良い。君はきっと、真面目なんだね。なんとかなるさ、って思って生きてたらいいんだよ。気楽にね。そしたら、本当になんとかなるんだよ。今は辛いと思うけど、でも、生きてたら絶対に大丈夫になる日が来るから。生きててよかった、って私は今、思えてるよ。大丈夫」
付き添いで来て会計やら薬の受け取りやらあれこれしてくれていた母が部屋へ戻ってくる。タクシーが着いたらしい。
点滴を最後の一滴まで絞り尽くして、看護士さんに車椅子でタクシーまで運んでもらう。看護士さんに心の底から「ありがとうございます」とお礼を言う。なんとかタクシーに乗り、帰路に着く。ゆられゆられ。
そこではたと気付く。あれ、これもしかして「シャンビリ」か?
説明しよう!
「シャンビリ」とは抗うつ剤の離脱症状の中でも有名な症状のひとつである!
「シャンシャン」という耳鳴りと、「ビリビリ」という身体の至る所を電気が走る痺れのような感覚。これらが同時に現れることが多いため、合わせて「シャンビリ」感と呼ばれているのだ!
今回の僕のケースは、シャンがなくてビリだけであったこと、ビリのレベルが100万ボルトであったこと、これまでこれほどのシャンビリを経験したことがなかったこと、からそれに思い至らなかったが、そういえば、前日、薬を飲んでいなかった。
シャンビリで救急搬送されたの、僕。ださ…。母の日に母に最大級の迷惑かけて、なにしてんねん。マザーファッカーかよ。おれが最強のマザーファッカーだぜ。お前ら、びびれよ。
タクシーが家の前に着いた。マザーファッカーは、母に縋り付きながらなんとか歩いて帰宅。ビリビリしながら服を着替えて、階段をよじ登り、ベッドにダイブ(実際はじじいの寝転がり方)して、今これを書いています。
抗うつ剤飲んでる人たち〜!
シャンビリにはお気を付けを!
そして、お母さんいつもありがとう!
では。