憂き世話

あんたの、ふとした一言にどうしようもなく悲しくなってしまうことがある。
でも、おれは、あんたの抱える過去を忘れろとか忘れるなとかそんなことを言いたいとは全くと言っていいほど思ってない。

だって、過去って一人ひとり違っていて、その過去があってのあんただし、おれがあんたと一緒に居ることができているのも、あんたがあんただったからだし。
今日に色が付いていたとして、同じ空間で過ごした今日がいつか過去になったとき、やっぱりおれとあんたでその色は違って見えるのだと思う。
違う目で見た違う色した同じ日を重ね合わせて、濁った色でも良いから、二つの色を重ねて生まれた新しい色でまた一日を過ごしていきたい、とおれは思う。

何度も何度もそれを繰り返して、ドロドロに混ざった汚ねえ色を幸せだって呼びたいと思う。