2016-05-01から1ヶ月間の記事一覧

半袖

気温が上がってきて、半袖姿の人々が目立つようになってきた今日この頃。まだ、半袖は早いだろう、いや、いけるかも、いや、やっぱまだ早いかな、といった具合に毎日着る服について思案する。特にこだわりはなく、よく「寝巻き?」と言われるので「正装です…

青年

小説をいつか書いてみたいと思っていた。本を読む習慣はなく、今でも大した数の本を読んではいないが、本を読む度に感動したり、しなかったりしていた。本を読むことが嫌い、と思ったことはない。勉強は現代文だけ大好きだった。英語も現代社会も世界史も数…

憂き世話

眼を開くと、真黒な、どろどろとした液体が身体を包んでいた。呼吸ができないが、不思議なことに苦しくはなかった。身体の中が火照って、血が巡っている感覚が脳味噌を揺らす。自分の血液ではない、何か別の生き物の群れが身体の中を駆け巡っている。自分自…

高校時代のある日

田舎町のこの辺りにしては大型の書店の駐車場の端の段々になったところに腰掛け、友人と2人何をするでもなく、自分たちの退屈な日常について話している。アスファルトの割れ目や継ぎ目から雑草が生えていて、風にゆらゆらと揺らされている。 学校帰りに、中…

憂き世話

ぴいぴいと鳴く小さな生き物が、うちへやって来た。やって来たというか、風呂から上がって、火照った身体を冷やそうとミネラルウォーターを飲むために冷蔵庫の扉を開くとちょこんと座っていた。私が「うわっ」と叫ぶと、ぴい、と鳴いた。そっと手を伸ばして…

日常

講義が終わって近所の書店に行った。岩波新書蔵出し祭というキャンペーンをしていて、キャンペーン中は岩波新書1冊購入につき1回福引きに挑戦できる。福引きの商品は岩波の限定グッズ(非売品)らしい。twitterでそのキャンペーンを知ったので、講義が終わっ…

汽車

汽車に乗っている。田舎なので、電車ではなく汽車。通路を挟んだ向こうの席に老夫婦が座っている。老夫婦は、この汽車に乗り換える前の汽車にも同乗していた。もう車を運転していないのかもしれない。だから汽車に乗っているのかもしれない。それにしても、…

憂き世話

フルはウロを私に渡そうとビを伸ばした。私はそんなものにはもう飽きてしまったので、視線だけはウロの方に向けて、じっとその場に座っていた。フルは「アラ、ゴキゲンナナメカナ」なんて言って、ウロを、ことり、と置いて向こうへ行った。ここには、フルの…

憂き世話

僕はウサギだ。これは比喩でもなんでもなく、近所の遊園地でウサギの着ぐるみを着て風船を配っている。バイトの求人を探していたら、たまたま見つけた仕事だった。なんとなく楽しそうだと思い、なんとなく応募したら、数日後には、僕はウサギになっていた。…

憂き世話

この部屋に居ると、落ち着くので、私はよくこの部屋を訪れます。私は几帳面な性格ではなく、どちらかというと大雑把な性格をしているせいもあって、この雑然とした空間を堪らなく心地良く感じるのです。今、私の周囲は様々な物で溢れて、少しでも手を触れた…

機械音痴

母親は携帯電話を使うのが下手だ。スマホを使っているくせにyoutubeの見方が分からない。LINEも使うが、なぜかカタコト。たまに倒置法。ごく稀にではあるが「あ」「き」「く」など謎の平仮名が送られてくる。怖い。祖母も携帯電話を使うのが下手だ。メールは…