2020-01-01から1年間の記事一覧

2017/05/27 : 回想 - ある人に向けた

恋人はもういない 時代はもどらないよね タイムマシーンはこない そんな歌をうたってた どこいったの ※Chara「タイムマシーン」より _______________________________ 綺麗なものは、綺麗だからこそ、汚れてしまえば目立つ。白い紙に点を描いたら、人間は、…

2017/11/28 : 回想

埋火を聴くと、去年の冬を思い出す。 冬の冷たい空気が鼻腔を抜けていくあの感じ。あれを冬の匂いっていうのかもしれないなぁ、と思う。あの感覚を比喩的に言うのならば、たしかに「匂い」という言葉はしっくりくる。埋火を聴くとき、春でも夏でも秋でも関係…

2020/11/08

読みかけの本が積み重なっている。これらの内の幾冊を読み終えることができるのだろうか。量を読まないくせに、読みたい、と一瞬でも思ってしまった本は逡巡することもなく購入してしまうので、際限なく冊数だけが増え続けていて、部屋の中、至る所に書物が…

2020/10/31

ふらふらと街を歩いていたら、二ヶ月と少し前に別れた女の子からLINE電話がかかってきていて、常日頃マナーモードにしている僕はそれに気付かず、スマホをポケットから取り出したときには、画面に表示される通知のその時刻から三十分ほど経過してしまってい…

憂き世話

集落の中心を焼鳥の串の如く真っ直ぐに抜ける市道脇の、人ひとりがやっと歩ける程度の幅しかない歩道を歩いていると、いつもの夜には決して聴こえることのない賑やかな話し声が、幾戸もの民家の窓から漏れ聞こえてくる。 盆の連休の間、集落には人間の気配が…

憂き世話

六月二日、曇り 寝室の電灯はずいぶん前に力尽きてしまって、しかし、寝室なので特に不便も感じず、長い間、取り替えずに放置している。寝るだけの部屋に、灯りはいらない。暗い部屋の中、布団にくるまって色々なことを考えるのが日課になってから何年が経っ…

2020/07/27:寝る前

連休が終わった。 それだけで人々は嘆くことができる。100人いれば98人は憂鬱な気分になる。憂鬱な気分になって、最悪の場合、死に至ることもある。連休は害悪だ。 いや、労働があるから休日があるわけで、休日の最上級が連休で、つまり、労働が悪い。労働は…

成人男性の握り拳ほどの大きさの泡の塊が、池の上に枝を投げるいくつかの樹の、その枝に点々とぶら下がっている。葉を飲み込むような恰好で枝に付いているものもあれば、竹輪のように枝を芯にして付いているものもある。全部で八個あった。ここから無数の命…

2020-07-04:抜歯

親知らずを抜いた。 朝七時五十分に起きて、歯を磨く。一時間と少し経ったら、他人に口の中を見せないといけないので念入りに。 __________________________________________ 先日、たぶん十年ぶりくらいに歯医者に行った。左上の親知らずが鈍痛を訴え始めた…

憂き世話

「人生は単なる付属品だ」 とあなたは言った。 「生まれたというその事実だけが、僕たちが生きている唯一の理由で、人生がああだこうだなんて後付けの娯楽みたいなもんなんだよ」 あなたの人生の一部にでもこうやって私が存在している。それも、あなたにとっ…

2020/06/15

久しぶりに日記を書く。 「日記ってのは毎日書くから日記なんだ」と、小学四年生の時の担任が言っていた。体育の時間に、鍛え上げた筋肉を見せつけるために服を捲ってキャーキャー言われてたあの先生(キャーキャーはもちろん黄色い声なんかではなくて、ただ…

雨が降り出した。私は室内にいる。だから濡れない。当然のことだが、その当然が当然であることが、なんとなく恐ろしく感じられる瞬間がある。 狭い部屋のベッドの上で、ひとりでいるのに服を着ていることを、ふと不思議に思う。着飾る必要もないし、寒いわけ…

憂き世話

普段は家にこもっていたいと思っているくせに、いざ「外に出るな」と言われると、なぜだか無性に外に出たくなるのは、私だけではないはずだ。人間は誰しも心の中に天邪鬼を飼っている。心の中の天邪鬼たちも、政府からの自粛要請を受けて、天邪鬼だから、外…

2020/2/11:退屈な祝日

ひとり、どんよりとした気分で終えるこの一日が、自分の今後の人生にとって善にも悪にも働かない、きっと、数ヶ月もすれば記憶の端にも登らない、思い出そうとしても思い出せない類の一日になってしまうのだという予感が、布団に潜ることを躊躇わせる。 ふと…

2020/2/3:雑文

令和2年の2月。もう年が明けてから1ヶ月経った。この1ヶ月、何もしていない。何もしていないのに1ヶ月が経っていて超怖い。とか言ってるうちにまた1年終わるんだろうな。 2年も経てば、仕事にも慣れて余裕が出てきて仕事終わりに友達とかとご飯食べて…

憂き世話

「こんばんは、起きてる?」 僕たちの会話は、毎回、その言葉から始まる。それは電話だったり、SNSのメッセージ機能だったり、玄関先でだったり、状況は違えど、いつだってそうだった。アシちゃんの家だったり、駅前だったり、適当な場所で落ち合って、ふ…

憂き世話

中国地方の小さな地方都市、都市だなんて呼んでしまうのも恥ずかしいくらいのここにある国立大学には、受験に失敗してランクを下げて行き場もなくて仕方なくここを選んだという学生ばかりが多く通う。なんでこの大学を選んだの? と訊くと大抵、苦笑いを浮か…

憂き世話

「そう、あの時から僕の性格はこんなに卑屈でどうしようもない匂いを漂わせ始めたんだと思います。どこか一点が腐り始めてしまった果物、そうだな、蜜柑とか梨とかそういうものを思い浮かべていただければ分かりやすいかもしれません。それまでは綺麗な色や…

憂き世話

猫が交尾中に出す声は、赤ん坊の泣き声に似ている。猫も夜中に交尾をする。人間と同じ。深夜に窓の外から聴こえてくる声は不気味で、猫が鳴いてるのか、赤ん坊が泣いてるのか、猫が鳴きながら交尾をして、それで、雌猫から赤ん坊が泣きながら生まれたのか、…

2020/01/02

年が明けて1日経った。 12月31日の23時前くらいに眠くなったので寝て、起きたら1月1日の午前2時で、ウケた。居間のコタツと夢の中で新年を迎えたマヌケな24歳。 1月1日は酒を飲んで寝ていたら終わった。 朝、起きて簡単なおせち料理と日本酒で朝食を済ました…