2018-10-01から1ヶ月間の記事一覧

回想

彼の故郷は小さな集落である。水田や畑が民家と同じ数ほど並ぶその集落には、1年中、土の匂いが漂っている。集落の中には1本の川が流れている。彼の家はその川沿いの崖の上に建っていて、彼は常に水が岩にぶつかったり渦を巻いたり忙しく流れ続ける音を聞き…

2018/10/29:酔

人間は猿と変わらない。猿よりも馬鹿な生き物かもしれない。人間はどんな動物よりも賢いと思っているのは人間だけで、そんなことに固執しているのは人間だけで、他の動物は人間の存在なんて風景と同じに思っているのだろう。 自意識の中でしか生きられない悲…

2018/10/27

夕方、窓辺で煙草をふかしながらぼーっと空を眺めていると一羽のツバメが視界を通り過ぎて行った。こんな時期にまだツバメがいるなんて、と不思議に思う。他のツバメと一緒に渡りそびれたのかもしれない。もしそうならば、早くみんなに追いつけるようにと願…

ひとり、美しさに打ちひしがれる夜。酒を飲んで、ふわりとした頭で、考えているふりをして何も考えずにいる。 自分に無いものを持っている人がどうしようもなく羨ましくて妬ましい。美しいと思うものはいつも、自分の中にはなくて、美しいのはいつも他人だ。…

深夜の悲しい報せ。大好きな存在がまたひとり旅立ってしまった。 書き残しておく。 ありがとう。さようなら。僕は君に出会えて本当に嬉しかったよ。またいつか、遊ぼうね。