2015-11-01から1ヶ月間の記事一覧

隣人

隣人は僕と同じ大学生である。茶髪で身長も高い方で、THE大学生な見た目をしている。たまに廊下ですれ違うが挨拶はしない。僕は彼が苦手である。というのも、五月蝿いからだ。関わりなんてないし、ただ部屋が隣というだけの関係だが、苦手である。彼は昼間も…

印刷物を40ほど用意しようと思っていたら、図書館のプリンターがインク切れで使えなかった。プリンターは2台並んで設置されているので、隣にあるもう1台に向き直ると、そいつもよくわからないエラーで使えない。昼休憩はあと5分。3限に間に合わない。学部棟…

寝なければ

綺麗な歯並びも、男性として魅力のあるだけの身長も、丁度良い広さの額も、パッチリとした目も、筋の通った鼻も、さばけた性格も、楽天的な考え方も、たくさんの友人も、白い肌も、将来の夢も、理想の未来も、充実した心も、その他諸々。手にしていないし、…

憂き世話

彼が会いに来てくれた。彼は温和な人で、私は彼の怒った姿を見たことはなかった。私にまだ心を許してくれてないのか、と不安になったこともあるけれど、彼の幼なじみですら彼が怒っているのを見た記憶がないという話を聞いて、あ、彼はそういう人なのかと安…

ベランダ

最近の僕にとって、ベランダは聖域である。干しっぱなしのバスタオルは夜の冷たい風に吹かれて、冷たくなっている。慣れない煙草を吸ってみるのも、世の中を客観するため、である。大学生になったから今更、煙草如きで、非行だ、なんて誰も言わないのだ。室…

憂き世話

人混みの喧騒の中にふわふわ浮いている、アイツは何者なのだろうか。生き物であるかどうかすら判別不可能である。少なくとも、アイツは多くの人々が行き交う街の片隅でふわふわと浮かんでいる、ということだけは僕の足りていない脳味噌でも判断できている。…

憂き世話

朝、目が覚めると隣に彼女が眠っている。朝は気分が良い時と悪い時がある。今日は少し気分が良い朝だ。僕はテレビのリモコンを手に取り、電源ボタンを押した。画面の中では、先日この町で起きた女子大生失踪事件について様々な議論が交わされている。警察は…