2022-01-01から1年間の記事一覧

憂き世話

幼い頃から通っていた駄菓子屋が営業を辞めるらしい。 「清水商店」 見慣れた看板。もう、なんて書いてあるのか判別もできないほどに古ぼけた看板。 清水商店をやってるのは、八〇歳くらいのお婆さんで、夏のぬるい風に綺麗な白髪を揺らしている。会計の計算…

2022-08-13 : あ

あ、あ、あー、あ、あ、あ、あ、 呼吸はしています。生きております。 えー、突然ですが、他人の幸福に当てられています。結婚、妊娠、出産、一軒家、昇進、その他諸々。 おめでとう、は持ち合わせております。 が、どこかに嫉妬、とまではいかないけれど、…

憂き世話

ライターで火をつけた煙草、久々に吸う煙草。咥えて、そして、吸う。普段の呼吸よりも強めに吸う。深呼吸よりは浅めに吸う。 クソ不味い。 よくこんなモンを、毎日、いや、毎時間、飽きずに吸ってられんな、オッサンら。と思う。口には出さない。口に出すの…

2022-04-01 : 片割れ

「男女の友情はあると思いますか?」 よく耳にする問い。僕は迷わず「あります」と答える。だって、実際にあるんだもの。僕は知っているんだもの。大好きで最強な女友達がいるんだもの。恋愛なんて馬鹿らしく思えるくらいな友情を知っているんだもの。なんな…

憂き世話

目が覚めたら、右手の薬指がボールペンになっていたのだけれど、僕は左利きだし、薬指って一番指の中で扱いづらいので、めちゃくちゃ微妙な気分になった。せめて左手の薬指であって欲しかったな、そしたら、練習すれば普通に字を書けるようになって便利かも…

2022-01-02

恋愛とは、粘膜と粘膜を重ね合わせる作業に裏打ちされた正義の上で繰り返される陶酔、行き過ぎて狂う安心感と独占欲、理不尽を許すことすら少し楽しんでしまうことを肯定される驕り、そういうものを綺麗に言い換えただけの言葉で、そこに付随するナンバーワ…