水の中は意外に暖かかった。さっきまでうるさく響いていた蝉の声も聞こえない。智一は沈んでいく身体を自分のものではないように感じた。身体はこんなに軽かったのだな、中身が入っていないのではないか、そんな風に思う。呼吸をしようとするが、身体中が水…
智一が目を覚ますと、もう太陽は真上に昇っていた。昨日の夜は、なかなか眠れずに居間で見てもいないテレビをつけて重たい頭を床に転がしていたのだが、いつの間にか眠ってしまっていたらしい。硬い床で寝ていたせいで首が鈍く痛む。時計を見ると一一時半を…
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