深夜の悲しい報せ。大好きな存在がまたひとり旅立ってしまった。 書き残しておく。 ありがとう。さようなら。僕は君に出会えて本当に嬉しかったよ。またいつか、遊ぼうね。

雑記

人は皆、自意識の中に生きている。眼に映るものは全て自意識によってしか認識されない。つまり、人間はそれぞれがそれぞれの世界を見ていて、その世界を創り出しているのは紛れもなく自分自身である。人間は自分の中に生きている。だから、逃れられるはずが…

青について

物置小屋の横の石垣で、トカゲが日光浴をしていた。若いトカゲの尻尾は青く輝いている。捕まえてみようか、と思ったが、尻尾を千切らせてしまうのが勿体なく感じて、やめておく。 青年というが、成る程、人間も若い頃は青いのだ。ケツの青いガキ、という言葉…

2018/09/29

雨が降る。 草木は濡れて葉先から雫を滴らせる。地面を無数の水滴が叩く音。それが雨音なのか、見渡す限りの樹々がその葉から水滴を落とす音なのか、判断できない。音は川のせせらぎのようにも聴こえる。そういえば近くに小さな渓流がある。空から降る水が地…

憂き世話

空き缶が机の上に溜まっていく。机の上から淘汰された奴らは転がり落ちて床に横たわっている。窓を開けていると得体の知れない小さな虫が入ってくるし、浴槽の四隅は掃除しきれなかった水垢でぬめっている。脱ぎ散らかした服。雑然と積まれたCDや文庫本。 彼…

2018/09/23:彼岸中日

彼岸花が咲き乱れている。蛇の舌を抜いて寄せ集めたような不気味な花弁が、その赤色であちらこちらを燃やしている。 今日は墓参りをした。我が家の墓は山の中にある。墓地には十数基の墓石が並んでいる。明和、文政、天保。聞いたことがないような元号が墓石…

メモ

例えば、二人で歩いている時に「この景色とか話している内容とか、きっと忘れてしまうんだろうなぁ」と思ってどうしようもなく切なくなることがある。思い出ってのは、重要なところとか印象深いところ以外は殆どカットされて再生されるものだって知ってるか…

2018/09/16

数年ぶりに会った幼馴染は、髪の毛が長くなっていて、化粧も上手になっていて、服もお洒落になっていたけれど、相変わらず気さくに笑っていた。 この集落には、僕と同じ学年の子は一人しかいない。その子は小学生の頃に引っ越してきたので、それ以前には、僕…

雑記

特に目的など持たずにつらつらと書き始める。が、同時に僕は、目的など持たない、という目的を持ってしまっている。矛盾はそこかしこに生まれ出でて、僕たちは矛盾の氾濫の中を泳ぐ泳ぐ。溺れ死んでしまうまで。 「書き始める時には何も考えていない」「物語…

憂き世話

某駅構内。 「殺すぞ!」 女性の張り上げるような声が聞こえた。それぞれ違う方向へ向かって歩いていた人々が一斉に同じ方向に顔を向ける。無数の目が向く先にはひとりの女子高生がいる。右手には、制服に似つかわしくない包丁。彼女の近くを歩いていた人た…

いつの間にか、子供ではなくなってしまっていて、つまらない責任とかつまらない常識が生活を蝕んで、生活はつまらない。 何もかも人間の創り出したつまらないシステムで、人間は、自分達が創り出したシステムを制御できなくなって、それに取り込まれてしか生…

憂き世話

「おー、久しぶりー」 仕事終わりにコンビニで買い物をしていると、大学の同級生だった吉岡から電話が掛かってきた。 「久しぶり、なに?どうした?」 吉岡とは大学を出てからほとんど連絡を取ることがなくなっていたので、電話が掛かってくるなんて何事だろ…

憂き世話

夕立に降られた。 傘を持っていなかったので、服も鞄も靴も、びしょ濡れだ。あぁ、こんなに濡れてしまったら今更急いで走ったところで意味ないなぁ、と思い、不貞腐れながらゆっくりゆっくり歩いて帰ったら、身体が冷えてしまった。寒い。 帰宅して、すぐに…

回想

小学二年生の頃だった。 幼馴染とふたりで下校していると、近所のお婆さんに声をかけられた。 「あら、〇〇ちゃん。大変なことだったなぁ」 何のことを言っているのか分からなかったので聞き返すと、お婆さんは沈んだ声で 「あぁ、知らんかっただか。あのな…

憂き世話

運動会を明日に控えて、教室の中はいつもより少しだけ、そわそわと落ち着かない。 お弁当のオカズは何だろうね、おやつも持っていこうよ、飴食い競争楽しみだなぁ、飴食い競争は小麦粉で真っ白になるから嫌だなぁ、小麦粉美味しくないよねぇ…。 僕は、運動会…

寒い、雪が積もりつつある夜。

恋人が飲み会から帰ってくるのを待っている。遅い、って拗ねたら「誰も待っててなんて言ってないよ」と諭されるので拗ねない。本当は少し寂しいけど、まぁ、拗ねない気の持ち方を会得しつつある。たぶん。 就職に向けて、宿題みたいな感じで渡されたペン字練…

恋人の中にいつまでも昔の男の影が見えて、苦しい。いつまでもいつまでも付き纏う。あの男と離れるために、おれと一緒にいるんだろう。たぶん。それが全てではなくても、そうなのだろう。 いつまで、孤独なのだろう、僕ら。

12月

iPhoneを同期させたくて、pcにつないでみるのだが、pcが悪いのかケーブルが悪いのか、読み込んでくれない。 何度か電源を落としてみたり、ケーブルを変えてみたりするのだけれど、一向に読み込んでくれるような気配はない。 つい先日まで、ちゃんと使えてい…

冬が近づいてきたような

ここ数日で一気に空気が冷えた。一昨日、冬の空気になった気がして「今日は霰が降りそうだなぁ」と思っていたら、案の定、バイトが終わって帰ろうとしている頃、1日中降り続けていた雨の中に小さな氷が混じり始めた。 冬の匂い、という表現があるが、なるほ…

雑記

特に理由なんてなくても、なんだか気持ちが落ち込む日っていうのがあって、今日はそれ。本当は理由があるのかもしれないし、ある気がするけれど、それは理由と呼ぶには少し曖昧過ぎるから無いのと同じ。と自分に言い聞かせてみる。 昨日、注文したCDと詩集の…

祖母との電話から

祖母と電話をした。祖母はよく電話をかけてくる。最近は夜中の23時頃にかけてくることが多い。寝た方が良いよ、と言うと、あんたは忙しくて夜中しかまともに電話に出れんから、と言っていた。昔から両親は共働きで、家に帰ってくるのは早くても19時や20時だ…

憂き世話

「怖いから見たくない!」 そう言って絢子はトイレから走って出ていく。 検査窓に赤紫色の線がうっすらと浮かんでくる。段々と色が濃くなっていく線の左側には真っ白な空白。線は一分ほどではっきりと現れた。まだなんとなく安心できず、そのまま数分、小さ…

憂き世話

高校へ続く道は桜並木になっていて、春になると花は鮮やかに咲き乱れ、そして一週間ほどで散っていく。落ちた花弁が道路の端の方へと追いやられて茶色く腐っていく間に、木々は生命力が透けて見えるほどに濃い緑色をした葉を育て、自らが落とした花弁のこと…

憂き世話

あんたの、ふとした一言にどうしようもなく悲しくなってしまうことがある。でも、おれは、あんたの抱える過去を忘れろとか忘れるなとかそんなことを言いたいとは全くと言っていいほど思ってない。 だって、過去って一人ひとり違っていて、その過去があっての…

憂き世話

夕方くらいから、日が暮れて数時間経った今まで、ずっとずっと同じ問題を考え続けている。 自分の頭が相当に悪いと気づいたのは最近のことで、「宿題面倒臭いよ〜」なんて台詞が、教室のあちこちから毎日聞こえてくるものだから、私は勝手に勘違いをしていた…

湿気

ジメジメとしたこの土地の性質が、土地に生きる人々の性質を侵し、人々の心象も土地と同じく湿り気の強い腐葉土のような不快な柔らかさを携え始めたのはいつのことなのだろうか。 彼が生まれた土地は、山と山に挟まれた谷であった。集落の中心を流れる川の水…

吸水性

終わりがくる度に、自分の中に空洞がぽこりと生まれる様な心持ちになる。必死に立ち向かっていた対象がある日急に無くなってしまうことなんて、生きていく中では珍しいことではないのだけれど。 自分の中に生まれた空洞は、徐々に広がっていって、今まで生ま…

憂き世話

たまたま街中であなたを見つけると、それだけで嬉しいような悲しいような変な気持ちになって、思考が停滞してしまいました。 あなたがここを去ってから、もう何度夜が来て、その度、私は何度暗闇へ浸されたのか、もう分かりません。身体を濡らす暗闇が乾く前…

2016年10月21日のこと

僕の住む街で大きな地震が起きた。 揺れ始めた時に何をしていたのか、もうあまりよく覚えていない。ベッドに座って、振動する部屋の中で、棚から空き瓶や小銭をためていた小箱や木で出来た蛙の置物や、いろいろなものがポロポロと落下していくのを見ていた。…

ピアスを開けるのは完全に自己満足です。べつに誰かに見られたいとか、お洒落したいとかそんなんじゃなくて、自分の身体を自分のものだって確認するための行為。自傷行為。腕を切ることにはまだ抵抗があって、というか腕を切るのはあらかさま過ぎる気がする…