憂き世話

文章で人を生かしてみたかった。

 

僕の書く文章が、誰かの心(そんなものが存在するのだとしたら)に、薬物のように作用して(たとえ副作用があったとしても)、たとえば喜び、もしくは怒り、哀しみ、楽しみになれば、そして、それらがその誰かの生活にとっての核の部分から数センチ横の隙間に、かちり、と嵌まり込むことができたならば(凹凸が歪であればあるほど良い)。

 

文章で人を殺してみたかった。

 

僕の書く文章が、誰かの心(それは紛れもない臓器)に、薬物のように作用して(たとえ致死量を摂取してしまったとしたら)、たとえば喜び、もしくは怒り、哀しみ、楽しみになれば、そして、それらがその誰かの生活にとっての核の部分から数センチ横の隙間に、かちり、と嵌まり込むことができたならば(凹凸は歪であればあることを願う)。