憂き世話

天井を見上げている。頭の中は騒音と言葉の海。放心できない。放心できないまま、ただただ天井と向き合っている。

 

馬鹿野郎。世界はおまえの脳味噌で完結してしまうんだよ。おまえの見てる世界はおまえのもんだ。分かるか? あの太陽も、あの美人も、あの花も、あのホームレスも、おまえの脳味噌で処理される材料でしかねえの。

 

あ、空が青い。いや、緑か。

 

これは何だろう? 何を持っているのだろう。生暖かい物体。春。生き物が動く季節。僕は生き物らしい。生暖かい物体。生きてる? 否。生きていた。

 

あ、空が青い。いや、紫だ。

 

夢を見た。貴女の右腕を愛でる夢。僕の鼓動はBPM110くらいだった。たぶん。分かんないけど、普段よりは速かった。貴女は右腕を愛でる僕を見て、微笑んでいた。微睡んでいた。夢。どこからどこまでが夢だったろう。貴女の右腕。

 

潰れたカナブンを食べた。

 

許されるなら、許してほしい。なんて、当然の帰結。僕は許されない。

 

空は青い。